繊細で豊かに5人の調和 マンハッタン・ジャズ・クインテット沖縄初公演


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上質で繊細なスタンダードジャズを演奏するマンハッタン・ジャズ・クインテットのリーダーでピアニストのデビッド・マシューズ=20日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(ジャン松元撮影)

 世界的ジャズピアニスト、アレンジャーのデビッド・マシューズ率いる「マンハッタン・ジャズ・クインテット」の結成35周年を記念した来日ツアー沖縄初公演(琉球新報社主催)が20日、那覇市泉崎の琉球新報ホールであった。第一線で活躍している一流のミュージシャン5人がスタンダードジャズを中心に、繊細で表情豊かな旋律とリズムで演奏し、観客をとりこにした。

 マンハッタン・ジャズ・クインテットはピアノのマシューズと、トランぺッターのマイケル・ロドリゲス、サクソフォンプレーヤーのクリス・ハンター、ベーシストのリッキー・ロドリゲス、ドラマーのクリフ・アーモンドからなる。

 幕開けは「アイ・ガット・リズム」だった。リッキーの重厚なベース音に乗せてハンターがダイナミックにアルトサクソフォンを鳴らし、マイケルのトランペットが柔和な音色を響かせた。続く「サム・スカンク・ファンク」ではアーモンドが軽快にドラムを鳴らし、マシューズがしっとりとしたピアノの音を奏で観客を引き込んだ。

トランペッターのマイケル・ロドリゲス
ドラマーのクリフ・アーモンド

 ラテンナンバー「キサス・キサス・キサス」に差し掛かると、晴れ晴れとした南国の陽気な雰囲気が感じられ、会場の雰囲気を明るくした。

 後半は耳なじみのあるナンバーがそろい、観客を楽しませた。「エル・クンバンチェロ」ではアルトサクソフォンとトランペットが狂いなく疾走し、「モーニン」ではあでやかなトランペットの音、色気のあるテナーサクソフォンの音色で観客の心を揺さぶった。「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」はマイケルがトランペットにミュート(弱音器)を付けて味のある音色を響かせたほか、マシューズもピアノをそっと優しく打鍵した。

 演目の最後は「キャラバン」。リッキーの力強いベースの独奏とアーモンドの奇っ怪なドラムさばきが印象を残した。演奏を終えても拍手は鳴りやまず、そのままアンコールへと突入する。5人は快活なリズムで華やかに「ロザリオ」を披露し、会場を後にした。

 15曲約2時間半の演奏でも5人は疲れを見せずに上質なジャズを届けてくれた。MCでは日本好きのマシューズが滑らかな日本語を披露したほか、メンバー紹介では「安里屋ゆんた」「涙そうそう」を演奏して観客を和ませた。ぜひ沖縄に来て再演してほしい。
 (金城実倫)

サクソフォンプレーヤーのクリス・ハンター
ベーシストのリッキー・ロドリゲス