〈17〉腎代替療法 自分に合った治療法選択


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 腎臓は何をしている臓器かご存知でしょうか?

 腎臓は尿を作る臓器です。飲んだ水や体内に蓄積してくる毒素(尿毒素)を尿として排せつします。腎臓が悪くなると、飲んだ水が排せつできずに体がむくみ、尿毒素がたまることで倦怠(けんたい)感、食欲低下などが起こり、最終的に生命の維持が難しくなります。このような症状が食事療法や薬でコントロールできなくなると、腎臓の代わりに血液を浄化する治療「腎代替療法」が必要になります。

 腎代替療法には血液透析、腹膜透析、腎移植の3種類があります。

 血液透析は、まず体から血液を取り出し、透析器で水や尿毒素を除去した後、血液を体へ戻します。これを週3回、1回4時間行うことで腎臓の代わりとします。しかし通院回数が多く、社会復帰しにくいという欠点があります。

 腹膜透析は、手術でおなかにカテーテルを留置し、透析液を1日3~4回、自分でおなかの中に出し入れすることで水や尿毒素を除去する方法です(1回30分程度)。職場で透析を行うことも可能で、時間の融通が利くことが最大の特徴です。夜間のみ行う腹膜透析もあり、仕事を無理なく継続でき、社会復帰しやすいことが利点です。手技も比較的簡便ですが、在宅治療であるため自己管理が非常に重要です。

 腎移植は、日本では夫婦間や親子間での生体腎移植が多く行われています。免疫抑制剤を内服する必要がありますが、通院は月1回程度で社会復帰に優れています。現在は血液型が異なっていても良好な成績が得られるようになりました。

 腎臓が悪くなったらこの三つからいずれかを選択しなければなりません。透析はしたくないと思って当然です。しかし腎臓が悪くなっても「人生終わり」ではなく、腎代替療法を組み入れた新しい生活が始まるのです。単に命をつなぐだけの治療ではなく、透析以外の時間は仕事や趣味にあてることも可能です。生活の一部となる腎代替療法の特徴をよく理解し、自分に合った治療法を選択することが大切です。

(座間味亮、琉球大学医学部附属病院 腎臓内科)