オール沖縄に不協和音 衆院2・4区 候補者選考で調整難航、そのわけとは…


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 次期衆院選の候補者選考を巡り、玉城県政を支える「オール沖縄」陣営内に不協和音が広がっている。現職が引退の意向を表明している沖縄2区と空白地域である沖縄4区の候補者選考で、政党や県議会会派間の思惑が交錯し、与党内に亀裂が生じかねない事態に陥っている。

 28日、那覇市内で「オール沖縄」陣営による各党・各会派会議(座長・照屋大河社民党県連委員長)が開かれた。会合は衆参同日選がささやかれた6月以来の開催で、この日は衆院1~4区の候補者選考の在り方について意見交換した。

 会合は約2時間行われたが一致した方向性は見いだせず、各党、各会派とも議論を持ち帰って候補者選考における確認事項を協議することになった。

 与党内の不和は、2区選出の照屋寛徳氏=社民=が今期限りの引退を表明し、北中城村長の新垣邦男氏を事実上の後継指名したことが発端だ。

 国会で議席を持つ他の政党の多くが静観を決め込む中、無所属の与党県議で構成する会派おきなわは「現職が退く際の後継選びについては、現職やその政党のみに優先権があると確認はされていない」とくぎを刺し、引き続き社民からの候補者擁立が前提となる動きをけん制する。不満の背景には、会派おきなわとして2区に独自候補の擁立を視野に入れていることがある。

 前回衆院選で保守系無所属の仲里利信氏が落選した4区を巡っても、引き続き無所属の候補を擁立すべきと主張する政党と、党内から独自候補を擁立したい立憲民主党などで意見が割れており、今後の選考の過程次第で波乱も予想される。

 2014年の知事選で誕生した「オール沖縄」は、直後に行われた衆院選と17年の前回衆院選では、1~4区の現職に対抗馬を立てないことを確認したが、現職が引退する場合についての取り扱いは協議してこなかった。さらに、立憲民主が新たに加わったこともあり、政党、会派の寄り合い所帯である陣営内の調整は難しさを増している。与党幹部の一人は「他の政党の人選には文句は言えないが、選挙協力を結ぶかはこれからの議論次第だ」と指摘した。
 (吉田健一)