それぞれの立場で提言 沖縄らしいSDGsに向けできることは…


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島袋純琉球大教授

 沖縄らしいSDGs(持続可能な開発目標)の在り方を県民ぐるみで議論しようと、「SDGs普及推進のための県民円卓会議」が28日、那覇市の県立図書館で開かれた。円卓に着席した琉球大教授の島袋純氏、県企画部企画調整課班長の平良秀春氏、恩納村役場企画課係長の當山香織氏、琉球新報編集局次長の島洋子氏、琉球朝日放送ニュースデスクの島袋夏子氏、JICA沖縄所長の佐野景子氏の6人の発言要旨を紹介する。

当事者意識持って/島袋純琉球大教授

 誰一人取り残されない社会を実現するため、SDGsを普及させることが大事だ。円卓会議で今後の取り組みなどについて語り、知事に提言書を出すが、県民が当事者として取り組むことが重要だ。人権に関する問題解決が求められているほか、次期沖縄振興計画で重要なテーマになる。

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生産性向上が課題/平良秀春県企画部企画調整課班長

 沖縄は1人当たり県民所得は全国最下位で、収益がなかなか上がらない産業構造がある。どうやって生産性を高め、県民所得を上げていくのか。SDGsは沖縄21世紀ビジョンが掲げる人権の尊重や共生の精神などとも共通している。全県的な展開にしていきたい。

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サンゴ保全浸透へ/當山香織恩納村役場企画課係長

 恩納村では企業などがサンゴを守る活動をしており、村として支援できないかと2018年に「サンゴの村」宣言をし、19年に内閣府の「SDGs未来都市」に選ばれた。村民にとってはサンゴは身近すぎて意識しづらいが、方言を使用するなどして浸透させたい。

平良秀春県企画部企画調整課班長

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新聞で問題可視化/島洋子琉球新報編集局次長

 子どもの貧困は3年前に特集を組んだことで県民が自分ごととして考え、募金などにつながった。企業の地域貢献のニーズは高まっている。隠れた問題を可視化することが新聞の重要な役割の一つだ。同時に、地域活動をSDGsに当てはめて紹介し、議論を深めていけるようにしたい。

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啓発工夫で広がり/島袋夏子琉球朝日放送ニュースデスク

 SDGsは横文字で分かりにくい。キャッチフレーズがあると取っつきやすくなる。SDGsは二つの構造があり、数値目標を設定して取り組む部分と、「人を助ける」など多くの人が既に実行している部分がある。二つを分けて啓発すればさらに広がるだろう。

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貢献する側として/佐野景子JICA沖縄所長

 乳児死亡率や貧困率を低下させるなど、アフリカでMDGs(国連ミレニアム開発目標)の達成を手伝ってきた。SDGsは先進国も取り組む。沖縄は公衆衛生が発展しているほか、自然素材由来の防波堤などがあり、貢献する側としてできることはたくさんある。

當山香織恩納村役場企画課係長
島洋子琉球新報編集局次長
佐野景子JICA沖縄所長
島袋夏子琉球朝日放送ニュースデスク