逆転を引き寄せた砂川の言葉とは…少ない好機をものにした八重山農林


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 第69回県高校野球秋季大会第10日は29日、沖縄市のコザしんきんスタジアムで準決勝が行われ、沖縄尚学が2年ぶり14度目、八重山農林は初の決勝進出を決めた。両チームには九州大会(10月19日~24日、佐賀県)への出場権が与えられる。八重山農林は1―2の七回に逆転し、粘る具志川を3―2で振り切った。沖尚は15安打で毎回得点し、嘉手納を11―1の五回コールドで退けた。決勝は10月5日午後1時から、同会場で行われる。農林高校が県大会決勝に進出するのは、春季、選手権、秋季を通して、1963年秋の中部農林以来56年ぶり。

◆八農、12人の旋風

八重山農林―具志川 7回2死満塁、逆転の右前適時打を放つ八重山農林の4番・砂川将吾=29日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(大城直也撮影)

 八重山農林が、少ない好機を着実にものにして、初の決勝進出を決めた。12人の少数精鋭が初の九州切符も手にし、新里和久監督は「まさかここまでくるとは」と感慨深げに目を細めた。

 売りの強打が序盤は鳴りを潜めると守りのリズムも崩れた。二回にバッテリーエラーもあって先制されると活気がなくなった。「このままずるずる引きずったら負ける」。ムードメーカーの砂川将吾が声を発するとチームは活気を取り戻し、好機を虎視眈々(たんたん)と狙い続けた。

 1―2で逆転を狙う七回、相手の捕球ミスや死球で塁を埋める。「直球は全部思いっきり振る」と真っすぐ狙いで打席に入った4番・砂川が、低めの変化球に器用に合わせ、右前に運んだ。三塁から返った宮良太海が「戻ってこい」と二走の久貝悠斗に両手で大きくサイン。逆転の生還を果たした久貝は宮良とハイタッチで喜びを表した。

 九回裏、マウンドの親里大翔の一球一球に歓声が上がった。最後を内野ゴロで打ち取ると、親里はガッツポーズを掲げ、ベンチにいる仲間と笑顔でハイタッチ。

 全員野球でつかんだ初の九州大会だが余念はない。大浜圭人主将は「最後まで緩むことなく、優勝を決めたい」と頂点を目指す。
 (上江洲真梨子)


▽準決勝
八重山農林
 001 000 200|3
 011 000 000|2
具志川
(八)垣本、親里―岡本
(具)津波古、真栄城、長山―前上門
 ▽三塁打 砂川(八)
 ▽二塁打 東盛(八)
 【八重山農林は初の九州大会出場】

 【評】序盤に点を取り合い、具志川の1点リードで迎えた七回表、八重山農林は失策と2死球で走者をため、4番砂川将吾の決勝2点適時打で逆転し、そのまま逃げ切った。ともに6安打だったが、与四死球は八重山農林が1に対し、具志川は9。制球力の差が勝敗に影響した。