沖縄出身詩人を調査 水野准教授 山城正雄を探求


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北米沖縄県人会長の歴代写真を背景に資料調査に取り組む水野富山大准教授
 日系アメリカ文学を研究する富山大の水野真理子准教授(47)は2009年と19年にカリフォルニア州を訪れ、ロサンゼルスなどで日系アメリカ文学に関して資料調査や聞き取り調査を行った。
 今年は8月8日から12日までガーデナ市の北米沖縄県人会を訪れて関係者と面会した。沖縄出身のコラムニストで詩人の山城正雄さんについて、さらに探求したいとの思いがあった。県人会事務局長の山内優子さんや、元県人会会長の比嘉朝儀さんらの協力を得て、山城さんが県人会図書館に寄付した蔵書の再調査をした。
 水野准教授は「山城さんが所有していた書籍を調査することで、彼がどんな本を読み、作品にどのような影響を与えたかが見えてくるのではないか」と期待している。山城さんは戦前から戦中、戦後までの日系日本語文学を築き上げた、重要な存在の一人であるという。「日系アメリカ文学の歴史や記憶を引き継いでいくためにも、山城さんの人生や作品についての研究を今後も続けていきたい」と抱負を述べた。
 水野准教授は1975年富山県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科で博士号(人間・環境学)を取得。22年には作家・ジャーナリスト翁久允の研究で、公益財団法人富山県ひとづくり財団の「とやま賞」を受賞した。(当銘貞夫ロサンゼルス通信員)