「がれきに多くの人が」


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 【カイロ共同】建物は崩れ、がれきの山ができていた。モロッコ中部で多数の犠牲者を出した8日の地震。「激しく揺れた」「がれきの下に多くの人々がいる」。深夜に襲った地震の恐怖を生存者が語る。被害の拡大が見込まれる震源地の住民は早期救出を求めた。
 「建物は完全に破壊され、全てが荒廃している」。震源地の中部アルハウズ県のホテルで働くゴズラン・バハムートさん(31)が共同通信の電話取材に被害状況を説明した。
 同県に通じる道路が遮断された所もあり、救助隊の到着が困難になっているという。既に着いた救助隊に関して「隊員数が非常に少なく、十分な装備がない」と悲嘆した。
 「死ぬかと思った」。旧市街が世界遺産の中部マラケシュの女性ニハド・ワイリさん(25)が震える声で話した。建物2階に住み、家族と一緒に座っていたところ建物が激しく揺れたという。路上に避難し、亡くなった人や泣き叫ぶ子どもを目撃した。 
 マラケシュの香辛料販売店の従業員ヒカム・アリさん(39)は、子どもたちと自宅の外に飛び出した。地元当局が住民に公園での待機を呼びかけており、自宅には戻っていない。「子どもたちがとてもおびえていて、家に戻るのを恐れている」と語った。
 【エルサレム、ニューデリー共同】多数の犠牲者が出たモロッコ中部の地震で、世界各国の首脳らは9日、モロッコへの弔意や連帯を表明、支援を申し出た。
 林芳正外相はお見舞いのメッセージをブリタ外相に送り「可能な限りの支援を行う用意がある」と伝えた。
 岸田文雄首相やバイデン米大統領らも参加してインドの首都ニューデリーで9日開幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、モディ首相が冒頭演説で「被災した人々に心からのお見舞いを申し上げたい」と表明した。支援の用意があるとも述べた。
 2月の大規模地震で5万人以上が犠牲となったトルコのエルドアン大統領は哀悼の意を表明し「モロッコの同胞をあらゆる手段で支援する」と強調した。
 欧州メディアによると、ロシアのプーチン大統領は国王モハメド6世宛てに弔意を発表。ウクライナのゼレンスキー大統領も「深い哀悼の意」を表明した。
 2020年にモロッコと国交正常化したイスラエルのネタニヤフ首相は「イスラエルはわれわれの友人、モロッコのそばにいる」と強調。救援隊派遣に向け、準備するよう関係機関に指示した。旧宗主国フランスのマクロン大統領も「救急隊派遣の準備ができている」と申し出た。