モロッコ地震1000人超死亡 M6・8、1200人負傷 捜索難航、さらに拡大も


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 【カイロ共同】米地質調査所(USGS)によると、モロッコ中部で8日午後11時11分(日本時間9日午前7時11分)ごろ、マグニチュード(M)6・8の地震があった。内務省は9日、死者が1037人、負傷者が1204人になったと発表した。震源地は山間部で被害の全容は分かっておらず、犠牲者はさらに増える可能性がある。
 発生から一夜明けた9日、地元当局や治安部隊が動員され、本格的な救助、捜索活動が始まった。多数の負傷者が病院に搬送されており、当局は献血を呼びかけた。
 内務省によると、最大の犠牲者が出たのはアトラス山脈に位置する震源地の中部アルハウズ県。捜索活動は難航する恐れがある。
 国営マグレブ・アラブ通信(MAP)は9日、国王モハメド6世が軍に対し、陸路と空路で人道支援を実施するよう命じたと伝えた。
 人的被害や建物の倒壊は広範囲にわたっている。現地メディアなどによると、震源から約70キロ北東の中部マラケシュでも死者が出たほか、世界遺産に登録されている旧市街でモスク(イスラム教礼拝所)の塔が崩れた。
 外務省海外邦人安全課は9日夜、日本人に被害が出たという情報はこれまでに入っていないと明らかにした。
 USGSによると、震源の深さは18・5キロ。断層が上下方向にずれる「逆断層」型とみられる。
 震源地近くに住む男性はロイター通信に「揺れが20秒ほど続き、ドアが勝手に開いたり閉じたりした」と証言。山間部の村に住む男性は「がれきの下敷きになっている人が複数いて、救助活動が続いている」と語った。
 モロッコはアフリカプレートとユーラシアプレートの境界周辺に位置しており、時折大きな地震が発生する。1960年には南西部のアガディール沿岸で1万人超が死亡。2004年には港湾都市ホセイマなどで600人超が犠牲となった。
 欧州メディアによると、今回の地震では、隣国アルジェリアや欧州のスペイン、ポルトガルでも揺れが感じられた。
地震の被害に遭ったモロッコ中部マラケシュの市街地=9日(Jana Meerman提供・ロイター=共同)