中国、服統制へ改正案 言論に続き、異論噴出


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同】中国の全国人民代表大会(全人代)は「中華民族感情を害する服装」を公共の場所で禁じる法改正案を8日までに公表した。愛国心を高める狙いが習近平指導部にあるとみられるが、言論ばかりか服装まで統制に乗り出す姿勢には法律家からも「権力乱用」と異論が噴出。日本の浴衣姿の女性が警察に連行される騒ぎも起きており、和服が標的となることが懸念される。
 公共施設で秩序を乱す行為を禁じた「治安管理処罰法」の改正案で、8月28日に全人代に提出された。今月1日から30日まで意見公募の期間を設定。他法案より桁違いに多い6万件超の意見が8日までに寄せられた。服装規定が修正されるかどうか注目されている。
 改正案は現行法に条文を加え「中華民族の精神を傷つけ、中華民族の感情を害する服装を公共の場所で着用したり他人に着用を強制したりすること」を禁じた。違反すれば最長15日の拘留とした。罰金規定も設けた。
 法律専門家らは交流サイトで反対意見を表明。中国政法大の趙宏教授は「公権力の乱用だ。個人の自由を過剰に抑え付ける」と批判し、清華大の労東燕教授は「規定があいまいで、適用範囲の恣意(しい)的拡大を招く」として条文削除を提案した。「文化大革命の時代に戻りたくない」など市民の訴えも投稿された。
 和服を巡っては江蘇省蘇州で昨年8月、浴衣姿で撮影していた中国人女性を警察が公共秩序騒乱の疑いで連行。警察は「(漢族の伝統衣装の)漢服を着ていたら何も言わない」と話したといい、イベントで和服の着用を自粛するなどの動きが出た。