精神不調「顕著に増」 ハワイ火事1カ月 心理ケア課題に


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 【ラハイナ共同】米ハワイ州マウイ島の山火事で、マウイ郡の公衆衛生を担当する州の責任者ジョン・オリバー氏は6日、共同通信のインタビューに応じ、精神的な不調を訴える被災者が時間の経過とともに「顕著に増えている」と明らかにした。「孤立感を深めている人が多い」とも指摘し、人々が互いに関わり合う重要性を強調した。
 少なくとも115人が死亡し「過去100年で最悪の山火事」(バイデン大統領)と言われた災害は8日(日本時間9日)で発生から1カ月。多くの被災者が自宅を焼かれて避難が長期化する中、精神面のケアも大きな課題となっている。
 州は最も被害が大きかった島西部ラハイナを拠点に、発災後間もなく被災者のカウンセリングを始めた。オリバー氏の指揮下、カウンセラーらがこれまでに千人近くから相談を受けたという。
 相談者の中には、4、5歳くらいの少女もいた。火の手から逃れる際に多くの遺体を目の当たりにし、親友も亡くして「悲しい」と訴えた。アフガニスタンに派遣された退役軍人は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のような症状を引き起こしたという。
 時がたつに連れ、気持ちと向き合う時間ができて不安感を認識する人が増えたと分析した。