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震災12年 3人の身元特定 陸前高田・山田ヨシ子さん、大槌・佐野キネさん、山田・木下健さん 県警、遺骨遺族の元へ 岩手日報 提供


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 県警(高水紀美彦本部長)は8月2日、東日本大震災で身元不明となっていた3人の身元を特定したと発表した。親族とのミトコンドリアDNA型鑑定などで突き止め、いずれも遺骨を遺族に引き渡した。
 3人は陸前高田市気仙町の山田ヨシ子さん=当時(83)、大槌町小鎚の佐野キネさん=当時(84)、山田町長崎の木下健さん=当時(74)。県警が身元特定を発表したのは2021年11月以来。
 県警捜査1課によると、3人は11年に遺体の一部が発見され、岩手医大に依頼した同鑑定の結果が今年6月に判明。遺族への説明などを行い、8月1日までに遺骨を引き渡した。
 佐野さんの娘は「見つかってうれしい」とコメント。木下さんの妹は「12年もたって、まさか帰ってくるとは思っていなかったのでうれしい。まだ家族が見つからずに苦労されている方々も、希望を持てるのではないか」とした。
 同鑑定は細胞内に数百個存在するミトコンドリアからDNAを抽出。母親が一緒であれば、きょうだいで同一のDNA型になるのが特徴で、県警は17年度に導入している。
 県によると、6月末現在、震災の行方不明者は1110人。捜査1課によると、3人は遺体の一部で身元を特定したため、行方不明者数は変わらない。遺体の一部が発見され、県警が身元を特定したのは3人を含めて83人となった。
 同課の昆幸喜次長は「震災から12年が経過したが、月日が流れても身元が判明する可能性はある。遺族や住民に相談会へ参加してもらい、ささやかな情報でも提供してほしい」と呼びかける。