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潜水艦沈没犠牲者悼む 80回忌慰霊祭に遺族参加


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ニューカレドニア・ヌメアの共同墓地の一角に日本人墓地がある。そこには第二次大戦中、ヌメア南の沖合で沈没した伊号第17潜水艦の慰霊碑があり、潜水艦と戦死した97人の名前が御影石のプレートに刻まれている。
 伊号第17潜水艦は零式小型水上偵察機を搭載する、当時最新の潜水艦だった。1943年8月、交戦中に海の底に沈んだ。毎年、命日の8月19日にニューカレドニア日本親善協会と在住日本人が慰霊祭を開く。今年は宮崎とハワイから来た遺族が80回忌の慰霊祭に出席した。83年の慰霊碑建立の際、初めて有志が遺族12家族をニューカレドニアに呼んだ。それ以後は遺族の出席はほとんどなく、今までに3家族しかいない。
 宮崎から来た遺族の横山敏明さんは、父親が戦死したニューカレドニアに一度は来ようと思っていたが、なかなか行動に移せなかった。それを見かねた家族が準備を重ねてきた。今年は特別に慰霊祭が2回行われることになり、横山さん家族はヌメア日本領事事務所主催の慰霊祭に参加できることになった。8月12日、慰霊碑の前で横山さんは、慰霊碑を守ってきた関係者に感謝の言葉を述べた。そして尺八で「海ゆかば」を演奏した。8人で出席した横山家はニューカレドニアとつながる家族の歴史を実感した。
 8月19日、日本親善協会主催の慰霊祭に慰霊祭に参加した遺族は谷戸一敏さんの家族。妻と娘、孫2人の5人だ。谷戸さんは大学卒業後、建築家としてハワイに住み50年になる。1歳半で死に別れた父親に、幸せに暮らす家族の姿を報告できてうれしいと語った。
 この日の参列者には日本関係者のほかに、退役フランス海軍将校らの姿もあった。
 (山田由美子ニューカレドニア通信員)