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リビア洪水 数千人死亡か 暴風雨でダム決壊、1万人不明


リビア洪水 数千人死亡か 暴風雨でダム決壊、1万人不明 リビア・トリポリ、デルナ、エジプト、チュニジア、アルジェリア
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【エルサレム、ジュネーブ共同】北アフリカ・リビアで数日前から続く暴風雨により洪水が発生し、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)当局者は12日、約1万人が行方不明になっており、死者は数千人に上る可能性があると述べた。
 ロイター通信は11日、死者が2千人を超えたと報じていた。東西内戦が続いたリビアは国家分裂状態で、被害があった東部地域を統治する「リビア国民軍(LNA)」が地元テレビに語った話としている。
 ロイターは12日、東部を支配する勢力関係者の話として、東部デルナで千人以上の遺体を収容し、都市の25%が壊滅的な被害を受けたとも伝えた。デルナの上流域にあるダムが決壊し、周辺で大きな被害が出たもようだ。夜間の発生で地中海まで流された住民もいるという。
 国連が正統性を認めている首都トリポリの暫定政権は11日、国際社会に支援を求めた。カタール通信によると、同国のタミム首長は政府に対し、リビア東部に支援物資を送る準備を指示した。
 大雨はデルナやベンガジなど東部で広く記録され、建物の屋上で救助を求める市民がいた。多くの自動車も流された。デルナでは水位が3メートルになったと伝えられた。
 暴風雨はギリシャで被害を出した後、地中海を南下し、リビア東部一帯で大雨が降った。特に被害が大きいデルナには救難チームも近づけず、現地メディアは電気や通信も途絶えていると報じた。
 リビアは中東民主化運動「アラブの春」後の混乱で内戦状態に陥り、2020年の停戦後も国家分裂状態が続く。インフラ基盤がもろく、救助活動が遅れる恐れもある。
11日、車両やがれきが散乱したリビア東部デルナの通り(リビア暫定政権提供・AP=共同)