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安保理協力体制が終焉 ロ朝首脳会談 揺らぐ核拡散防止


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 核戦力の拡大方針を掲げる北朝鮮と、国連安全保障理事会の常任理事国の一角であるロシアが軍事協力の強化を視野に首脳会談を行った。制裁決議を通じて北朝鮮に非核化を求めてきた安保理の協力体制は、終焉(しゅうえん)を迎えた。 (3面に関連)
 核超大国ロシアが北朝鮮の核武装を容認する状況が鮮明になっており、常任理事国だけに核保有を許す核拡散防止条約(NPT)体制は大きく揺らぎ、一層の形骸化が懸念されている。
 金正恩朝鮮労働党総書記は2018~19年にも米中ロや韓国と活発に首脳外交を行った。だが、当時は「非核化」をカードに対米関係の安定を模索した。今は核攻撃能力の向上を進めながら米韓と核攻撃を威嚇し合っており、対外政策の方向は正反対だ。
 この状況で、過去には北朝鮮の核武装を望まず安保理の制裁決議に反対しなかったロシアが、ウクライナ侵攻への協力と引き換えに核戦力強化への支援に踏み出す可能性さえ出てきた。
 北朝鮮が米国との関係正常化を最大目標に置いていることに変わりはない。しかし、外交理念に掲げる「自主」を離れ、米国と対立するロシアへの依存を深めれば、対米政策は縛られ、関係正常化の道はさらに遠のきかねない。