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国家分裂で被害拡大 リビア洪水 石油巡り外国介入


国家分裂で被害拡大 リビア洪水 石油巡り外国介入 12日、リビア東部デルナで大破した車に座り込む男性(ロイター=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【エルサレム共同】大雨による大洪水で甚大な被害が出たリビアは2011年の中東民主化運動「アラブの春」以降、国家分裂状態が続き、事実上「破綻国家」になっている。石油や天然ガスの利権が絡むため諸外国が介入し、混乱収拾は見えない。今回の洪水では統治機能の欠如がインフラ整備や防災対策、救助活動の遅れを招き、被害が拡大したと指摘される。 (1面に関連)
 強権的な手法でリビアを40年以上統治したカダフィ独裁政権は11年、北大西洋条約機構(NATO)の軍事介入を受けて崩壊した。その後は民兵組織や武装勢力が乱立。12年に選挙が実施されたが、イスラム主義と自由主義の対立を解消できず、内戦状態に。内戦は10年代後半、首都トリポリを拠点とする暫定政権(イスラム主義勢力中心)と東部トブルク派勢力(自由主義勢力中心)の争いになった。
 20年に停戦合意に至り、21年12月に大統領選と議会選を実施することで合意したが、選挙方法を巡って意見が集約できず、行われていない。
 だが今回の災害で、トリポリ暫定政権は救援物資をトブルク派勢力統治下の被災地に空輸した。
12日、リビア東部デルナで大破した車に座り込む男性(ロイター=共同)