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リビア洪水死者7200人 遺体多数、感染症に懸念 通信途絶、停電や断水


リビア洪水死者7200人 遺体多数、感染症に懸念 通信途絶、停電や断水 衛星から撮影した洪水に見舞われる前の7月1日のリビア東部デルナ(上)と、被害後の9月13日の様子(マクサー・テクノロジーズ提供、AP=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

【エルサレム共同】国家分裂状態のリビアを襲った大雨による大洪水で、最大の被災地東部デルナのアブドルメナイム・ガイシー市長は13日、死者が7200人になったと述べた。負傷者は8300人。中東の衛星テレビ、アルアラビーヤに語った。通信回線が途絶えているほか、停電や断水もあり救助は難航、未収容の遺体も多く、感染症の懸念も出ている。

 デルナの人口は約10万人。ガイシー氏は行方不明者が多数おり、死者は1万8千~2万人に達する恐れがあると述べた。機能している病院が一つしかないとも強調。遺体の収容に当たる要員が足りず「多数の死者で感染症が起きないか危惧している」と支援を求めた。
 中東の衛星テレビ、アルジャジーラなどによると、捜索や救助活動を続ける地元当局や市民らは、倒壊した建物のがれきの中や、デルナが面する地中海からも遺体を発見。要員のほか、遺体を収容する袋も不足しているという。

 エジプトやチュニジア、トルコ、カタールなど近隣諸国の救助隊が到着。医薬品や食料、テントなどを被災地に搬送、国際支援が本格化する。

 被災者の一部は近隣の都市に避難。国連も救援を開始し、世界食糧計画(WFP)は5千家族以上に食料の配布を始めた。
 リビアは中東民主化運動「アラブの春」後の混乱で内戦状態に陥り、2020年の停戦後も、首都トリポリを拠点とする暫定政権と東部トブルクを拠点とする勢力が併存している。国際支援をスムーズに受け入れられるかどうかが課題だ。