中国国防相解任か　動静不明、会談キャンセル

　【ワシントン、北京共同】英紙フィナンシャル・タイムズは１４日、動静が２週間以上途絶えている中国の李尚福国防相について、中国当局の調査対象となり、国防相としての任務を解かれたと米政府が判断していると伝えた。複数の米政府当局者の話としている。ロイター通信は中国政府が先週予定されていた李氏とベトナム高官の会談をキャンセルしたと報じた。
　３期目の習近平指導部は異変が続いている。約１カ月にわたり動静が途絶えた秦剛前外相は７月下旬に解任された。核ミサイル部隊を管轄するロケット軍幹部らも交代。汚職疑惑が取り沙汰され李氏の動静不明もこの疑惑と関係があるのではないかとの臆測がある。
　ロイターは複数のベトナム当局者らの話として、李氏は７～８日にベトナムで国防協力に関する２国間会議に参加する予定だったが、中国側が「健康状態」を理由に延期を伝えてきたと報じた。米紙ワシントン・ポスト電子版は、李氏は国防相を解任されるとの米当局者の見方を伝えた。
　米国のエマニュエル駐日大使は１５日「ベトナムを訪問するはずが、姿を現さなかった。シンガポール海軍総司令官との会談も欠席している。自宅軟禁のせいだろうか？」とＸ（旧ツイッター）に投稿。「シェークスピアが『ハムレット』で書いたように、『何かが怪しい』」と皮肉った。
　李氏は３月に国防相就任。８月２９日に北京で開かれた国際フォーラムで演説したと国防省が同日発表したのを最後に動静が途絶えた。中国外務省の毛寧副報道局長は１５日の記者会見で、会談キャンセルや解任について問われそうした状況は「知らない」とだけ答えた。
李尚福国防相