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「救いを」訴えに呼応 救援物資続々、献血に列


「救いを」訴えに呼応 救援物資続々、献血に列 がれきの前で支援物資を運ぶ男性=12日、モロッコ中部アミズミズ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 8日深夜に起きた北アフリカ・モロッコの地震では、支援が届きにくい山間部で特に甚大な被害が出た。発生から15日で1週間。「救いの手を」―。交流サイト(SNS)に投稿された被災者の悲鳴のような訴えに呼応し、多くの国民がボランティアで救援物資を被災地に届け、献血センターに列を作っている。
 山間部に点在する被災地に通じる急峻(きゅうしゅん)で細い道は車両が通れないことも多い。インターネットでは毛布にくるまれた犠牲者の遺体を運ぶロバの写真が拡散した。多数の死者が出た中部ハウズ県の男性はフェイスブックに「一刻も早い支援が必要だ」と書き込んだ。
 ハウズ県の町アミズミズは被害が大きい地域の手前に位置し、車で支援物資を運ぶ人たちが続々と到着している。約400キロ離れた首都ラバトから毛布200枚を積んできたアハマド・チャルハさん(20)は「できることをやる」と話した。
 いまだに土砂崩れや落石の影響で孤立している地域があるとされ、被害の全容は明らかになっていない。中部の主要都市マラケシュからアトラス山脈を越えた先に住むスレイマン・ベンモハメドさん(25)はオンライン取材に「食料、水、薬、何も届いていない。冷え込む季節がくる前にテントが欲しい」と語った。
 道路が寸断し、車両の到達が困難な地域には、当局がヘリコプターで支援物資を運んでいる。
 マラケシュにある国立病院の献血センターには連日、大勢の市民が詰めかけている。職員によると、地震から一夜明けた9日には千人近くが訪れた。被災者のSNS投稿を見て来たというブチャイブ・メリジクさん(38)は「困難な時には助け合うのがイスラム教本来の教えだ」と語った。
 多くの国が支援を申し出ているが、モロッコ政府は支援が殺到すれば混乱につながるとして、救助隊派遣をスペインや英国など一部の国に限定した。被災者からは、さらに外国の支援受け入れを進めるよう求める声が高まっている。(マラケシュ共同=日出間翔平)
混雑する献血センター=11日、モロッコ中部マラケシュ
がれきの前で支援物資を運ぶ男性=12日、モロッコ中部アミズミズ