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リビア洪水死者1.1万人 影響88万人、救助本格化 残留地雷や不発弾拡散も


リビア洪水死者1.1万人 影響88万人、救助本格化 残留地雷や不発弾拡散も リビア・トリポリ、デルナ、トブルク、ギリシャ
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 【カイロ共同】国家分裂状態のリビアで発生した大洪水で、リビア赤新月社は14日、死者が1万1千人を超えたと明らかにした。中東の衛星テレビ、アルアラビーヤが伝えた。行方不明者は約2万人で、国連人道問題調整室(OCHA)は約88万人が影響を受けていると公表。犠牲者はさらに増える可能性がある。近隣諸国からの救助隊が活動を本格化させた。
 最大の被災地東部デルナではエジプトやチュニジアなどの救助隊が活動。がれきの中や建物の屋上に取り残された生存者少なくとも45人が救出された。AP通信は14日朝までに約3千体の遺体が埋葬され、さらに2千体の埋葬準備が進められていると伝えた。
 OCHAは88万人のうち25万人を対象に、今後3カ月間の支援に7140万ドル(約105億円)が必要になるとして各国に協力を呼びかけた。国連児童基金(ユニセフ)は14日、約30万人の子どもが影響を受けたと発表した。
 2011年のカダフィ独裁政権崩壊後、リビアは首都トリポリを拠点とする暫定政権と、東部トブルクを拠点とする勢力に分裂している。赤新月社はデルナに残っていた地雷や不発弾が「洪水で市全体に散らばった」とし、市民や救助隊に注意を促した。
 今回の洪水は2基のダムが決壊し、約10万人が暮らす下流のデルナを直撃した。
 APによると、暫定政権のドベイバ首相は14日の閣議でダム補修の必要性を認識したと強調。ダム崩壊を巡り、捜査を始めるよう検察当局に指示した。暫定政権はデルナ再建のため4億1200万ドル(約600億円)を拠出するとも表明した。
洪水で被害を受けた建物の間を歩く子ども=14日、リビア東部デルナ(ゲッティ=共同)
洪水で被害が出たリビア東部デルナで行われている捜索・救助作業=14日(ゲッティ=共同)