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ロ、英偵察機に攻撃 黒海 昨年、撃墜許可と誤解


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ロンドン共同】英BBC放送は15日までに、黒海上空で昨年9月、約30人が乗った英軍偵察機を撃墜しようとしてロシア軍戦闘機がミサイル2発を発射していたと報じた。命中せず、被害はなかった。基地から曖昧な指示を受けたロシア軍パイロットが撃墜許可を得たと誤解したためだったことが通信傍受記録で判明したという。欧米の国防当局者らの話として伝えた。
 北大西洋条約機構(NATO)加盟国の英軍機が撃墜されていれば、ロシアとNATOによる直接交戦につながっていた可能性がある。BBCは「たった一つの誤解が大規模な衝突に発展しかねないことを示すものだ」と指摘している。
 BBCによると、昨年9月29日に英軍電子偵察機RC135が黒海上空の国際空域を飛行中、ロシア軍のスホイ27戦闘機2機が接近した。基地から「標的を捕捉した」との連絡を受けてスホイのパイロットの1人は撃墜許可が出たと判断、ミサイル2発を発射した。
 1発目のミサイルが標的から外れた後、別の1機のパイロットが制止したのを振り切って2発目を発射したが、翼から落下したという。
 ロシア国防省は昨年10月に「技術的な不具合」が原因だと英側に説明、ウォレス英国防相(当時)も受け入れる考えを示していた。
 BBCは「英ロ双方とも事態がエスカレートするのを望まなかった」と分析した。
 事案については米紙も今年4月、米州兵が流出させた米機密文書の内容を基に「撃墜寸前だった」と報じている。