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迫る雨期、被災者「家を」 モロッコ地震1週間 生活再建遠く


迫る雨期、被災者「家を」 モロッコ地震1週間 生活再建遠く モロッコ・ラバト、マラケシュ、震源・ハウズ県
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【マラケシュ(モロッコ中部)共同】北アフリカ・モロッコ中部で8日に起きた地震から15日深夜(日本時間16日朝)で1週間が過ぎた。被害が集中した震源地周辺の山間部では多くの住宅が倒壊したままだ。被災者支援は遅れており、生活再建の道は遠い。被災地では10月ごろから雨期が始まるといい、被災者は「住居が必要」と訴えた。
 震源地に近い中部ハウズ県アミズミズ南東約5キロの集落。15日、未舗装の細い山道を車で約30分かけて訪れると、9世帯の住居が全て倒壊していた。「がれきに埋まった12歳の娘と40歳の妹が死んだ」。住民アブデルハフィド・オブラヒムさん(41)が声を震わせた。
 自身も肩の骨を折る重傷を負った。建設の仕事をしていたが、当面は働けない。毛布や木々で作った簡素なテントで家族と夜を過ごしている。水などの支援物資は届き始めたが「雨期が始まる前に家を確保することが一番重要だ。今すぐにも助けてほしい」と求めた。
 同じ集落のフセイン・オブラヒムさん(55)は地震で12歳の息子を亡くした。一緒に暮らしていた両親も負傷して入院中で、母親は意識がないという。「テントが届いたのは数日前。支援が遅い」と疲れをにじませた。
 15日は金曜日で、被災地では地震後初めてのイスラム教の集団礼拝が行われた。アミズミズ郊外のモスク(礼拝所)では100人近くが祈りをささげ、犠牲者を悼んだ。
 モスク周辺の住宅も大半が損壊した。近くの空き地で他の住民とともにテント生活を送るバブリム・バトゥルさん(62)は「トイレがなく、必要な時は壊れた家に行っている」と不安そうな表情を浮かべた。
 これまでに確認された地震の死者は2946人。保健省は負傷した6125人が手当てを受けたと明かした。モロッコでは1960年に南西部のアガディール沿岸で1万人超が死亡した地震以降、最悪規模となった。
15日、モロッコ中部の山間部の集落で倒壊した住居前で話すフセイン・オブラヒムさん(共同)