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日亜学院コーラス活躍 日本文化発信、沖縄音楽も


日亜学院コーラス活躍 日本文化発信、沖縄音楽も 文化センター「ラ・ウシーナ・デル・アルテ」の室内音楽ホールで演奏した日亜学院コーラス。前列一番右が指揮者ミラグロス・セイホーさん、スサーナ比嘉さんは前列左から五番目(日亜学院提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ブエノスアイレス市内の日亜学院は1927年に設立された。アルゼンチンの日本人移住者子弟のための日本語講座から発展して、現在はアルゼンチンと日本を結ぶ教育施設となっている。日亜学院のコーラス(合唱団)は2000年に結成された。創設以来23年間途切れることなく、ADICORA(アルゼンチン合唱団指導者協会)から、合唱の殿堂ともいわれる文化センター「ラ・ウシーナ・デル・アルテ」での公演に選ばれている。アルゼンチンの合唱界で邦楽合唱団のスタンダードとしての地位を確立している。
 日亜学院コーラスは日本の伝統的な歌曲だけでなく、現代や近代の音楽にも取り組むことが特徴だ。メンバーは現在、アルト7人、ソプラノ10人、テノール4人、バス3人で、女性17人、男性7人の計24人が在籍する。
 ブエノスアイレス市議会堂やブエノスアイレスの商業会議所、現「ラ・カサ・デ・ラ・クルトゥーラ」(旧ラ・プレンサ新聞社ビル)、教会や大聖堂、野外イベントなど公共の場が活動の舞台となっている。ブエノスアイレスはラテンアメリカの文化大都市で、文化的イベントは無料・有料に関わらず多くの人々を引きつける。このような環境の中でコーラスと学校は、日系人以外の社会に日本文化をアピールすることに大成功した。
 コーラス結成の原動力となった読谷出身のスサーナ比嘉さんは、メンバーの大半が日系人ではないにもかかわらず、非常に深い感情を伝えることで「コーラスを聴く、現地の人たちの心を動かすことに成功している」と語った。「最も驚いたのは、アルゼンチンの一般市民が安里屋ユンタ、童神、涙そうそう、芭蕉布、黄金の花、島唄、島人ぬ宝、てぃんさぐぬ花などの歌を非常に好意的に受け止めていることだ」と付け加えた。
 コーラスの指揮者ミラグロス・セイホーさん(現アルゼンチン国立多声合唱団合唱課長)は「将来の願いは、日本人作曲家の交響曲を演奏できるようになること」と語った。スサーナさんは「学校内での合唱活動の重要性は、沖縄の音楽を後世に残すために時代を超えて存続しレガシーとして成長する合唱団をしっかりと固めることだ」と強調した。 (大城リカルド通信員)
「ラ・ウシーナ・デル・アルテ」で演奏した日亜学院コーラス。前列右端が指揮者ミラグロス・セイホーさん、スサーナ比嘉さんは前列左から5人目(日亜学院提供)