ＳＤＧｓ「危機的状況」　国連　挽回へ政治宣言採択　「停滞・悪化」が３７％

　【ニューヨーク共同＝稲葉俊之】国連は１８日、２０３０年までの持続可能な開発目標（ＳＤＧｓ）に関する首脳級会合を開き、「達成は危機的状況にある」と強調し、各国が政策の推進と国際協調を約束する政治宣言を採択した。新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻の影響で進展が妨げられており、政治宣言の採択で取り組みの機運を再び高め、挽回を図る。
　政治宣言に拘束力はない。宣言は「貧困撲滅が最大の課題だ」とし、発展途上国で新型コロナ流行の影響が長期化しているため、財政支援が急務だとしている。
　会合冒頭、グテレス国連事務総長は「ＳＤＧｓは単なる目標の羅列ではない。人々の希望と夢、期待が込められている」と述べ、各国に一層の努力を要請した。２日間の会合は１００カ国近くの首脳らが参加し、岸田文雄首相は１９日に出席する。
　ＳＤＧｓは貧困と飢餓の撲滅、教育の普及、ジェンダー平等など１７分野で１６９項目の目標を定める。１５年に採択され、今年は達成に向けた１５年間の中間年に当たる。国連によると、今年時点で十分なデータがあり評価できた１３８項目のうち「停滞または悪化」が３７％に上り「順調」は１５％にとどまった。
　教育分野は新型コロナ流行で打撃を受け、平和分野はウクライナ侵攻など紛争の犠牲者が増え、共に「順調」な項目はゼロ。気候変動対策の分野も同様の評価。ジェンダー平等は世界各国での法整備まで、２８０年余りかかるとの予測がある。