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アステラス社員は刑事拘留 スパイ容疑 中国、近く逮捕判断か 拘束長期化の懸念


アステラス社員は刑事拘留 スパイ容疑 中国、近く逮捕判断か 拘束長期化の懸念 中国の邦人拘束を巡る主な動き
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同=福田公則】中国北京市で3月にアステラス製薬の日本人男性社員がスパイ容疑で拘束された事件で、中国当局が男性を刑事拘留したことが20日分かった。中国政府が今月中旬に入って日本側に伝えた。中国当局は正式に逮捕するかどうかを近く判断するとみられる。日中関係筋が明らかにした。
 日本政府は男性の早期解放を求めているが、中国側は応じていない。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り日中関係が悪化する中、男性の拘束長期化が懸念される事態となり、日中関係の安定化はさらに遠のきそうだ。関係筋によると北京の日本大使館員が今月13日、男性と対面で領事面会し、健康状態に問題ないと確認していた。男性の家族との連絡をはじめ必要な支援を行っている。
 中国当局は国内法に基づき、刑事拘留から37日以内に正式逮捕するかどうか決める見通し。日本政府関係者は20日、刑事拘留は「受け入れがたい。一刻も早い解放を求めていく」と語った。
 男性は帰国直前に「反スパイ法と刑法に違反した」として国家安全当局に拘束され、北京の収容施設で監視下に置かれた。中国政府は具体的な容疑内容を明らかにしていない。4月には訪中した林芳正外相(当時)が中国の李強首相に男性拘束を巡り抗議し、解放を要求した。
 日本大使館員による領事面会は月に1度のペースで実施。当初はモニター越しで行われていたが、7月に拘束後初めて対面の面会が実現した。
 中国外務省の毛寧副報道局長は20日の記者会見で男性の刑事拘留について「具体的な状況は把握していない」と述べた。「中国は法治国家だ。当事者の合法的権利を保護している」と主張した。中国は2014年以降に反スパイ法や国家安全法の制定を通じて社会の統制を強め、外国人を厳しく監視。取り締まりを強化するため改正反スパイ法を今年7月に施行した。