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ウラン濃縮下げで打診 カタール 核交渉 イラン、米に 見返りに原油輸出


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ニューヨーク共同】中東カタールが今月上旬、イラン核合意の再建交渉の膠着(こうちゃく)を打開するため、イランが60%まで高めたウラン濃縮度を20%に引き下げる見返りに、米国がイラン産原油の輸出をこれまでの禁止から日量200万バレルまで認める暫定案を両国に打診したことが24日、外交筋の話で分かった。再建交渉を巡り、仲介役カタールの提示内容が判明したのは初めて。
 イランの核開発制限と米国の制裁解除の範囲を巡る双方の主張の隔たりは依然大きく、暫定案が進展につながるかどうかは不透明だ。広範囲にわたる交渉での合意形成には時間を要するため、カタールは内容を絞り、難局を打開したい考えとみられる。
 イラン核合意は2015年に結ばれ、イランが核開発を制限する見返りに米欧が制裁を解除する仕組み。トランプ前米政権による離脱などで機能不全に陥った。バイデン政権は合意再建を目指している。カタールは米イラン双方が18日、それぞれ拘束していた5人ずつを解放した際も仲介役を担った。
 暫定案を巡って、米イランは国連総会が開かれているニューヨークで今月中旬に間接協議を行った。外交筋によると、イランは濃縮度を引き下げるよりも先に、米側が原油輸出を認める手続きをするよう要求。米側は「イランが信頼できる対応を取ることが必要だ」との立場を伝達した。
 暫定案は最長1年間の期限付きで、国際原子力機関(IAEA)による核施設査察を受け入れるようイランに求めた。