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12月にも日中韓首脳会談 高官協議で一致 共同宣言も


12月にも日中韓首脳会談 高官協議で一致 共同宣言も 外務省高級事務レベル協議の前に記念撮影に応じる(左から)船越健裕・外務審議官、韓国の鄭炳元・外務次官補、中国の農融・外務次官補=26日、ソウル
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ソウル共同=渡辺夏目】日本と中国、韓国は26日、ソウルで外務省高級事務レベル協議を開き、3カ国首脳会談を早期に開催する考えで一致した。複数の外交筋によると、議長国の韓国は12月に開催したいとの意向を示し、共同宣言の発表も提案した。日中の異論はなく、実現に向けて調整を加速させる構えだ。
 3カ国の首脳会談は新型コロナウイルスの感染拡大や各国間の関係悪化で2019年12月を最後に途絶えており、実現すれば4年ぶり。日韓関係の改善は進むが、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り日中関係が悪化しており、3カ国協力を進められるかどうかが焦点となる。
 日中韓は、首脳会談を踏まえた外相会談を11月に韓国南部の釜山で開催する方向で調整。韓国としては30年万博の釜山誘致に向けた取り組みをアピールする狙いもある。
 韓国当局者によると、3カ国は科学技術や経済通商、安全保障などの6分野で協力を進めることで一致。互いの好感度を高めるために人的交流の活性化も図る。日中を刺激する処理水放出に関する発言はなかった。
 約2時間の協議終了後、船越健裕・外務審議官は記者団に「早期に外相会談、首脳会談を開いて成果を作っていくことになった」と述べた。協議には船越氏と韓国の鄭炳元(チョンビョンウォン)・外務次官補、中国の農融・外務次官補が出席。韓国外務省によると、3氏は「コロナなどで停滞していた3カ国協力を再活性化させる契機になった」と評価した。
 中国外務省は26日、なるべく早期に首脳会談を開くため意思疎通を続けることで合意したと発表した。中国の習近平国家主席は23日、訪中した韓国の韓悳洙(ハンドクス)首相に会い、日中韓首脳会談について「適切な時期の開催を歓迎する」と述べていた。日本政府は「韓国の取り組みを支持し、3カ国の事務レベルでしっかり検討を進める」(松野博一官房長官)との立場。