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ケニアでカルト集団死 400人犠牲、教え従い断食


ケニアでカルト集団死 400人犠牲、教え従い断食 遺体を捜索する当局者=5月、ケニア・シャカホラ(ALPHONCE GRI氏提供・共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 アフリカ東部ケニアでカルト教団信者らの集団死事件が発生し、社会に衝撃を与えている。26日までに確認された死者は400人を超え、多数が不明なままだ。犠牲者の大半は「死ねば天国に行ける」との教えに従い、教団所有の森で食を絶った人々とみられる。司法当局は指導者らを拘束、事件の全容解明を目指す。
 現場は南東部シャカホラの森林地帯。新興の「グッド・ニュース・インターナショナル教団」の信者が集住していたが、3月ごろ「森にいる家族と連絡が取れない」との通報が地元警察に次々と入るようになった。やせて衰弱した信者や真新しい墓が捜索で大量に見つかり、事件が発覚した。
 複数の関係者によると、教団は2000年代前半、森から東に約60キロの都市マリンディで発足した。タクシー運転手だったポール・マッケンジー容疑者が民家の庭を借りて布教を始めると「誠実で情熱的な説教が評判となった」(女性元信者)。
 仕事や健康、家族関係に問題を抱える人々が救いを求め、教団は千人を超える規模に成長。一方で、説教は「教育は罪」「医療は悪」といった異様な訴えに少しずつ変わっていった。信者の子どもの不登校が目立ち始めたことなどから行政の介入が強まり、20年初頭ごろから、人里離れた森に拠点を移し始めた。
 教団内で今年1月、「神への罪を犯す前に死ぬべきだ」との考えが広がったとされ、脱走した20代の女性は「この時期に周囲で絶食が始まった」と証言した。
 事件発覚後、当局は信者に自殺を促した疑いなどでマッケンジー容疑者や複数の幹部を4月に拘束し、テロやジェノサイド(大量虐殺)に関連した罪でも捜査。絶食を続けられなかったために殺害された信者もかなりの人数に上るとみて調べている。(ナイロビ共同)