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日中、処理水で火花 IAEA総会、安全性巡り


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ウィーン共同】国際原子力機関(IAEA)の総会で25日、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り日本と中国が火花を散らした。中国は「汚染水」と呼んで安全性に疑義を唱えた。在ウィーン日本政府代表部の引原毅大使は、放出しているのは「処理水」だと指摘。毎日データを監視することで安全性が証明されていると訴えた。中国は放出による海洋環境や人の健康への危険性を訴えた。引原氏はIAEAの包括報告書が「人や環境への放射性物質の影響はごくわずかだと結論付けている」と反論した。
 さらに引原氏は中国の原発の中に、放射性物質トリチウムの年間放出量が福島第1原発からのトリチウムの計画放出量より数倍多いとみられるものがあると指摘した。
 総会では高市早苗科学技術担当相も、中国の主張が科学的根拠に基づいていないと訴えた。「突出した輸入規制を取っている」と中国を批判。正確な情報発信を求める考えを強調した。
 高市氏は記者団の取材に、非常に幅広い支持を得ていると感じたなどと述べ、海洋放出への国際的な理解が広がっているとの認識を示した。
 総会は29日までの予定。IAEAは7月4日、海洋放出計画について「国際的な安全基準に合致する」との包括報告書を公表した。海洋放出は8月24日に始まった。