有料

カラバフ紛争 決着へ アルメニア系行政府が解散 アゼル支配、ロ威信低下


カラバフ紛争 決着へ アルメニア系行政府が解散 アゼル支配、ロ威信低下 アゼルバイジャン・ナゴルノカラバフ、アルメニアなど
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【モスクワ共同=佐藤親賢】アゼルバイジャンからの独立を主張してきたアルメニア系住民の行政府「ナゴルノカラバフ共和国」は28日、「共和国の全ての行政機関を解散し、来年1月1日までに存在を停止する」との「大統領令」を発表した。これによりアゼルバイジャンが現地を支配下に置くことが確実になり、ソ連時代末期から続く領土紛争は最終的決着に向かう。
 ナゴルノカラバフを支援してきたアルメニアのパシニャン首相は紛争から距離を置いたロシアの対応に強い不満を示しており、旧ソ連地域でのロシアの一層の威信低下につながる可能性がある。
 ナゴルノカラバフは今月19~20日にアゼルバイジャン軍の全面攻撃を受け、武装解除を条件に停戦に応じていた。現地住民約12万人のうち28日までに半数を超す7万人以上が保護を求めてアルメニア国内に移動した。
 シャフラマニャン「共和国大統領」名で出された政令は、現地に戻るかどうかは個人の判断で決めるよう住民に呼びかけた。タス通信によるとパシニャン氏は28日「近日中にナゴルノカラバフからアルメニア系住民はいなくなる。民族浄化、国外追放そのものだ」と述べ、アゼルバイジャンや、現地に平和維持部隊を派遣するロシアを暗に批判した。
 一方アゼルバイジャン治安当局は28日、2022年11月から今年2月までナゴルノカラバフ行政府で首相に当たる国務相を務めたロシアの元投資家ルベン・ワルダニャン氏を「テロ支援」の罪で起訴したと発表した。ワルダニャン氏は27日、アルメニアに入国しようとして国境で拘束された。
 ナゴルノカラバフで「外相」を務めたババヤン「大統領顧問」は28日、アゼルバイジャン側に投降する意向を表明。解散決定で現地行政府の崩壊が始まった。

アゼルバイジャン当局に拘束されたナゴルノカラバフの元「国務相」ワルダニャン氏(中央)=27日(アゼルバイジャン国境軍提供・ロイター=共同)