有料

訪日便、中国ほぼ満席 大型連休、処理水放出でも


訪日便、中国ほぼ満席 大型連休、処理水放出でも 国慶節に合わせた大型連休の初日、日本へ向かう旅行客などで混雑する北京首都国際空港の出発ロビー=29日
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同】中国で29日、国慶節(建国記念日、10月1日)に合わせた8日間の大型連休が始まり、各地の空港は旅行客で混雑した。日中を結ぶ日系航空会社の便はほぼ満席で中国人乗客が大半を占めた。中国メディアは東京電力福島第1原発処理水の海洋放出で日本の観光業が打撃を受けると伝えていたが、中国インターネット検索大手の百度(バイドゥ)などのデータ分析結果によると、海外旅行先の人気トップは日本だった。
 中国国内では延べ20億5千万人が移動する見通し。新型コロナウイルス流行前の2019年を上回ると予想される。
 北京首都国際空港は連休初日で中秋節の29日朝から国内外の観光地に向かう団体客や家族連れでごった返した。
 羽田行きのチェックインカウンターにも長蛇の列ができ、30代の中国人男性は「友人と一緒に東京観光や日本食を楽しみたい」と笑顔。処理水については「安心できるかどうか、刺し身を食べて確かめようと思う」と話した。
 日系大手航空会社は「中国発日本行きの便は高い予約率で、処理水の影響は見られない」と説明。百度などがまとめた連休中の海外旅行先の人気ランキングではタイや韓国、マレーシアを抑えて日本が1位だった。観光庁の高橋一郎長官も27日の記者会見で処理水の訪日客への影響は「現時点では限定的」と述べた。
 処理水放出後、中国メディアは訪日旅行の予約キャンセルが相次いでいると報じ「核汚染水の海洋放出で日本旅行への熱意は大幅に低下した」と伝えていた。処理水に関する報道は最近になって大幅に減っている。
 日本政府関係者はキャンセルが相次いだと報じた中国メディアの姿勢に「作為的なものを感じた」と指摘する。日中外交筋は反日感情をあおる報道が続いた場合、関係悪化を制御できない状況にまでエスカレートさせる可能性があり「当局が報道規制に入ったのは明らかだ」と分析した。
国慶節に合わせた大型連休の初日、日本へ向かう旅行客などで混雑する北京首都国際空港の出発ロビー=29日