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アルメニアに7割超避難 カラバフから保護求め


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【モスクワ共同】タス通信によると、アルメニア政府は29日、アゼルバイジャンとの係争地ナゴルノカラバフからアルメニアへの避難民が8万8千人を超えたと明らかにした。多数派のアルメニア系住民約12万人のうち、7割以上が保護を求めてアルメニアに移動したことになる。
 ナゴルノカラバフ側は今月19~20日にアゼルバイジャン軍の全面攻撃を受け、武装解除を条件に停戦に応じた。アゼルバイジャンからの独立を主張してきた行政府「ナゴルノカラバフ共和国」は28日、行政機関を解散し、来年1月1日までに存在を停止するとの「大統領令」を発表。アゼルバイジャンの支配下に入ることが確実になった。
 タス通信によるとアゼルバイジャン治安当局は29日、アルメニア国境に近い検問所でナゴルノカラバフのムナツァカニャン元軍司令官を拘束した。
 行政府の首相に当たる国務相を以前務めたベグラリャン氏は29日、住民投票に基づく行政府の解散権限は「大統領」にはなく「無効だ」と通信アプリで主張した。
 ただ武装解除後の住民避難は止まらず、後ろ盾のアルメニアのパシニャン首相は28日、近日中にアルメニア系住民がいなくなるとの見方を示している。
 ナゴルノカラバフのアルメニア系住民は1991年に独立宣言しアゼルバイジャン軍と交戦。94年の停戦後も衝突を繰り返した。2020年の大規模衝突ではアゼルバイジャンが勝利。パシニャン氏は最近、現地をアゼルバイジャン領と認める用意を表明していた。
係争地ナゴルノカラバフからアルメニア南部に到着したアルメニア系の女性ら=26日(AP=共同)