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人権活動家らに注目 ノーベル各賞発表あすから 日本人受賞なら2年ぶり ▽平和賞


人権活動家らに注目 ノーベル各賞発表あすから 日本人受賞なら2年ぶり ▽平和賞 2023年 ノーベル各賞の発表日時
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ノーベル各賞の発表が10月2日から始まる。平和賞では人権擁護を訴えるアフガニスタンやイランの女性活動家や、長期化するロシアのウクライナ侵攻に絡んで国際機関の名前が挙がる。自然科学分野では新型コロナウイルスワクチン開発関連にも関心が集まる。日本人が受賞すれば2021年の物理学賞に選ばれた真鍋淑郎・米プリンストン大上席研究員(92)以来、2年ぶりとなる。
 平和賞は6日に発表。昨年はロシアとベラルーシ、ウクライナの人権団体や活動家に授与されたことを踏まえ、今年は他の地域に目を向ける可能性が指摘される。専門家の間では、アフガニスタンで女性の権利向上を訴える活動家マフブバ・セラジさんや、イランの女性人権活動家ナルゲス・モハンマディさんらを予想する見方が出ている。
 平和維持を担う国際的枠組みの重要性に光を当てる可能性も。国家間の紛争解決に努める国際司法裁判所(ICJ)や、難民支援を続ける国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が取り沙汰される。
 文学賞の発表は5日。海外のブックメーカーによる受賞者予想(9月28日時点)では、村上春樹さん(74)が9番人気だ。他に中国の女性作家残雪さんやノルウェーの劇作家ヨン・フォッセさんらが上位になっている。
 9日発表の経済学賞は唯一、これまでに日本人の受賞歴がない。マクロ経済学や金融を専門とする米プリンストン大の清滝信宏教授(68)が長年有力候補とされている。
 2日の生理学・医学賞。「メッセンジャーRNA(mRNA)」という遺伝物質を使った技術で新型コロナワクチン開発に道を開いた米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)らが、昨年に続き関心を集める。化学賞もあり得る。
 細胞同士をくっつけるタンパク質を見つけた竹市雅俊理化学研究所名誉研究員(79)、細胞内の異常なタンパク質を検知、修復する仕組みを解明した森和俊京都大教授(65)、睡眠と覚醒をつかさどるホルモン「オレキシン」を発見した柳沢正史筑波大教授(63)らの名前も挙がる。
 3日の物理学賞は、光通信に不可欠な光増幅器を開発した中沢正隆東北大特別栄誉教授(71)や、物質内の電子の特殊な性質を解明した十倉好紀理化学研究所センター長(69)が有力だ。
 4日の化学賞は、分子が自発的に集まる「自己組織化」の研究で知られる藤田誠東京大卓越教授(66)らに注目。多様なアミノ酸を組み合わせて薬の候補となる「特殊ペプチド」を合成する技術を開発した菅裕明東京大教授(60)も挙がる。
 (共同=岩村賢人、松本安二、黒崎正也)