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多国籍部隊を ハイチ派遣へ 国連、武力行使例外容認


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ニューヨーク共同】国連安全保障理事会は2日、ギャングによる拉致や殺害が横行するカリブ海の島国ハイチの治安回復に向け、加盟国に多国籍部隊を派遣する権限を与える決議案を賛成多数で採択した。国連による平和維持活動(PKO)とは異なるが「例外的に緊急かつ一時的な措置」として他国での武力行使を容認した。ハイチのジェネウス外相は安保理で「長い間、苦しんできた人々にとって希望の光となる」と決議採択を歓迎した。13カ国が賛成し、中国とロシアは政府を機能させる道筋を描けていないなどとして棄権した。
 決議の期間は1年間。ケニアが警察官千人の派遣を表明しており、多国籍部隊を主導する見通し。ジャマイカ、バハマも派遣を検討している。米国は財政支援をケニアに約束しており、ケニアは国際的地位を高めるとともに、米国からさらなる見返りを得る狙いがあるとみられる。
 一方、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは8月中旬、ケニアの警察が過剰な実力行使でデモ参加者らを死亡させているとして、安保理の各理事国に派遣の再考を要請していた。決議はこうした懸念に対処するため、多国籍部隊に人権侵害を防ぐ監視体制を設けるよう求めた。
 ハイチでは2021年7月にモイーズ大統領が暗殺されて以降ギャングの活動が激化。首都ポルトープランスの8割はギャングの支配下にある。