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米下院議長を解任 史上初 予算巡り強硬派が動議 共和党内の対立深刻


米下院議長を解任 史上初 予算巡り強硬派が動議 共和党内の対立深刻 米下院議長の解任決定後に記者会見するマッカーシー氏=3日、米ワシントン(AP=共同)
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 【ワシントン共同=高木良平】米下院本会議は3日、共和党の保守強硬派議員が提出した同党のマッカーシー議長に対する解任動議を賛成多数で可決した。下院議長の解任は史上初めて。下院多数派の共和党は次期議長候補の検討に入った。下院共和党の内部対立が深刻化し、政府の新年度予算案がまとまらない中、議会を巡る混乱が続きそうだ。
 議長解任動議は2日、共和党の最強硬派ゲーツ議員が提出した。ゲーツ氏は、9月30日に成立した11月中旬までの政府つなぎ予算に関し、歳出の大幅削減が盛り込まれなかったことや、マッカーシー氏が民主党と協力したことを批判している。
 下院議長は、大統領権限の継承順位が副大統領に次ぐ2位の要職。下院(定数435)の勢力は共和党221、民主党212、欠員2。共和党が過半数を握るが、民主党とは僅差のため、マッカーシー氏は弱い立場に置かれてきた。
 解任動議の採決に出席したのは計426議員で、民主党は208人全員が賛成した。共和党は一部がゲーツ氏に同調し、8人が賛成に回った。採決結果は賛成216、反対210だった。
 マッカーシー氏は3日、記者会見し「誇りと達成感を持って議長職を退く」と述べ、次期議長選に出馬しないと明らかにした。解任動議に賛成した共和党の8人について、民主党と連携したと批判した。
 米メディアによると、11日に次期議長選を実施する方向で調整が進んでいる。下院共和党ナンバー2のスカリス院内総務や、ナンバー3のエマー院内幹事が取り沙汰されている。選出されるまでの間、マッカーシー氏が指名した側近マクヘンリー議員が議長代行を務める。
 トランプ前大統領に近い強硬派は下院でつなぎ予算案が可決される前、歳出削減や国境警備の強化を繰り返し求めた。要求が通らなければ政府機関が一部閉鎖となる事態も辞さず、マッカーシー氏を議長の地位から排除すると公言していた。
米下院議長の解任決定後に記者会見するマッカーシー氏=3日、米ワシントン(AP=共同)