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フォッセ氏 ノーベル文学賞 ノルウェーの劇作家 「革新的な戯曲」


フォッセ氏 ノーベル文学賞 ノルウェーの劇作家 「革新的な戯曲」 ノルウェーの劇作家ヨン・フォッセ氏=2019年10月、ドイツ・フランクフルト(Jens Kalaene/dpa提供・AP=共同)
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 【ストックホルム共同】スウェーデン・アカデミーは5日、2023年のノーベル文学賞を、ノルウェーを代表する劇作家ヨン・フォッセ氏(64)に授与すると発表した。「近代劇の父」と呼ばれるノルウェーの劇作家イプセンの再来、「21世紀のベケット」などと称される。ノルウェー人の受賞は1928年の女性作家シグリ・ウンセット以来、95年ぶり。
 同アカデミーは授賞理由として「言葉に表せないものに声を与える革新的な戯曲と散文」を挙げた。フォッセ氏はロイター通信に「圧倒され、びっくりしている。他のことは考慮せず、文学であることを目指した文学に与えられた賞だと思う」と述べた。
 59年、ノルウェー西部ハウゲスン生まれ。83年に小説「赤、黒」で作家デビュー。90年代に代表作の劇作品「だれか、来る」を発表した。無駄を排し、詩のようなせりふで人間の本質を問いかける手法を用い、世界の演劇界に鮮烈な印象を与えた。
 30を超える劇作品は40以上の言語に翻訳され、日本でも「名前」「死のバリエーション」「スザンナ」などが上演された。小説や詩、児童書などの作品も精力的に発表してきた。
 2010年に「国際イプセン賞」を受賞。15年には北欧諸国の言語で書かれた作品が対象の「北欧理事会文学賞」を授与された。
 ノーベル文学賞の選考委員会のオルソン委員長は取材に「彼の作品は静けさの中で、不安や孤独など世界中の誰にでも通じる強い感情を喚起させる」と話した。
ノルウェーの劇作家ヨン・フォッセ氏=2019年10月、ドイツ・フランクフルト(Jens Kalaene/dpa提供・AP=共同)