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「国境の壁」再開へ バイデン政権、政策転換


「国境の壁」再開へ バイデン政権、政策転換 米国とメキシコを隔てる「国境の壁」に設けられた門を通る移民ら=5日、メキシコ北部シウダフアレス(ロイター=共同)
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 【ワシントン共同】バイデン米政権は5日、メキシコとの南部国境から流入する不法移民を防ぐため、トランプ前政権が進めた南部テキサス州の「国境の壁」の建設再開を認めた。来年の大統領選で再選を目指すバイデン大統領は、就任時に壁の建設を中止したが、有効な不法移民対策を打ち出せず批判が集まり、政策転換を余儀なくされた。
 不法移民対策は大統領選で主要争点となる。共和党の候補指名争いで首位のトランプ氏は、バイデン氏が壁の建設を遅らせて中南米から移民流入を招いたと訴え、自身と米国民への「謝罪を待つ!」と自身のソーシャルメディアに投稿した。
 バイデン氏は記者団に、国境の壁を建設する予算は既に割り当てられており、計画を止めることができなかったと説明した。一方で不法移民対策に壁が有効だと考えるかと問われると「ノー」と答え、政策の迷走ぶりが目立っている。
 メキシコのロペスオブラドール大統領は記者会見で「壁の建設を認めても問題解決にならない」と批判した。
 米国のマヨルカス国土安全保障長官は「不法入国を防ぐため、物理的な障壁を建設することが急務だ」と指摘し、約20マイル(約32キロ)の壁の建設を規制する環境保護関連法の適用を免除した。建設にはトランプ政権下の2019会計年度予算を充てるとしている。
 米政権は5日、不法入国したベネズエラ人を空路でベネズエラへ強制送還する措置を再開すると発表した。9月20日に、7月末までに入国したベネズエラ人に一時保護資格を与えると発表したばかりだった。
 国土安全保障省によると、テキサス州の国境で昨年10月以降、不法移民約24万5千人の入国が確認された。
米国とメキシコを隔てる「国境の壁」に設けられた門を通る移民ら=5日、メキシコ北部シウダフアレス(ロイター=共同)