【エルサレム共同=平野雄吾】イスラエル軍によると、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは7日、イスラエルに向けて3千発以上のロケット弾を発射した。ハマス戦闘員はイスラエル側に越境し住民を拉致。軍は対空防衛システムでロケット弾を迎撃したが一部はイスラエル領内に着弾し、イスラエルの民放「チャンネル12」は救急隊の話として100人が死亡、800人が負傷したと報じた。
イスラエル軍は報復としてガザを空爆。ガザ保健当局は198人が死亡したと明らかにした。ネタニヤフ首相は「われわれは戦争状態にある。敵はかつてない代償を払うだろう」との声明を出した。応酬がさらに激化する恐れがある。
イスラエルとハマスの間では2021年5月、11日間の大規模な戦闘があり、ガザでは約250人、イスラエル側で約10人が死亡した。
軍によると、ハマス戦闘員がイスラエル領内に侵入。イスラエル紙ハーレツは警察の推定として戦闘員は約60人と報じた。民家に押し入り、民間人を人質にしているとの情報もある。治安部隊との間で銃撃戦も起きた。
ハマスは声明で「軍事作戦の開始を発表する。標的は軍の拠点や空港だ」と強調した。「多数の敵の兵士を拘束した」とする字幕付きの映像を公表。映像にはイスラエル人とみられる複数の男性が戦闘員に拘束された様子が写っている。
今月6日まで約1週間続いたユダヤ教の祭り「スコット(仮庵の祭)」期間中、5千人超のユダヤ人がエルサレムにあるイスラム教とユダヤ教双方の聖地「神殿の丘」(イスラム名ハラム・アッシャリーフ)を訪れた。ユダヤ人の訪問は認められているが、「イスラム教聖地への攻撃」と捉えるハマスは反発し攻撃に踏み切った可能性がある。イスラエルには神殿の丘の支配を強化しようとする動きがある。
イスラエル中部テルアビブやエルサレムにもロケット弾が飛来、住民が避難した。