戦後沖縄チャイナ部隊研究会のメンバー3人が9月4~11日の日程で、資料調査のため訪米した。同研究会は1940年代後半の、空白となっている沖縄の歴史を明らかにすることを目的としている。
「チャイナ部隊」は沖縄や太平洋の島しょに戦後残された米軍の余剰物資を収集し、中国本土に運び出すために中華民国から派遣された一団のこと。派遣・駐留は、46年に米国と中国との間で結ばれた「米中余剰財産一括売却協定」が背景にある。「沖縄県史」シリーズにも詳細な記述はなく、沖縄で住民への聞き取り調査から明らかになってきた。
同研究会の波照間陽さん(成蹊大学アジア太平洋研究センターのポスト・ドクター)は「今回、ワシントンDCの国立公文書館では、米国務省と米軍の資料を重点的に調査した。チャイナ部隊を派遣する根拠となった国際協定の背景や、当時沖縄を統治していたアメリカがチャイナ部隊に関してどのような記録を残しているか探しに来た」と訪米の意義を語った。
3日間の短い調査ではあったが、これまで確認されていなかった政府文書や米軍が撮影した写真などを収集した。同研究会代表の森岡稔さん(西原東中学校教諭)は「探していた文書を確認することはできなかったが、ないことがわかったことも成果の一つ。チャイナ部隊に関連しそうな資料は時間の許す限り入手した」と今回の調査を振り返った。
戦後沖縄チャイナ部隊研究会はこれまで、沖縄県内各地やオンラインでシンポジウムを開催してきた。2018年には、当時沖縄に来ていた中国人元憲兵に聞き取り調査をするため、中村春菜さん(琉球大学准教授)らが訪米した。その後は新型コロナウイルスの世界的流行のため、アメリカや台湾で資料調査ができなかった。この研究を発展させれば、米軍の対沖縄占領政策という側面だけでなく、沖縄と台湾や中国本土との歴史的な関係性の解明にもつながる見通しだ。
メンバーはLA近郊の米海軍工兵大隊博物館(Navy Seabee Museum)も訪れ、戦中・戦後の基地建設に携わった大隊の、活動に関する展示を視察した。中村さんは「海軍工兵大隊の活動とチャイナ部隊との直接的な関わりは確認できなかったが、沖縄をはじめ世界中の米軍基地建設の歴史を学ぶことができた。今後の研究に生かしたい」と意欲を語った。
(当銘貞夫ロサンゼルス通信員)
米国立公文書館前に立つ研究会のメンバーの(左から)森岡稔さん、中村春菜さん、波照間陽さん=9月5日
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アメリカ 「チャイナ部隊」調査 研究会訪米、公文書収集
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琉球新報朝刊
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