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経済学賞にゴールディン氏 ノーベル賞 男女の賃金格差分析 女性3人目


経済学賞にゴールディン氏 ノーベル賞 男女の賃金格差分析 女性3人目 米マサチューセッツ州のハーバード大で記者会見するクラウディア・ゴールディン同大教授=9日(ロイター=共同)
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 【ストックホルム共同】スウェーデンの王立科学アカデミーは9日、2023年のノーベル経済学賞を、経済史の研究者で米ハーバード大教授のクラウディア・ゴールディン氏(77)に授与すると発表した。200年超にわたる米国の労働市場に関する膨大な資料を緻密に検証。女性の雇用率や男女間で賃金格差が生じた要因などを分析したことが評価された。
 経済学賞を女性が受賞するのは、ゴールディン氏で3人目となる。
 ゴールディン氏は経済史とともに労働経済を専門領域とする研究者。男女間で賃金格差が存在する理由については、家庭で育児に関わる重い責任を負わされる女性と比較し、その恩恵もあって長時間、柔軟に働くことができる男性の労働者が雇用面で優遇されたことが要因の一つになったと指摘した。また、同じ職業でも第1子誕生を機に男女間の格差が広がっていることを明らかにした。
 米東部マサチューセッツ州のハーバード大で記者会見したゴールディン氏は受賞決定を受け「とても光栄です」と喜びを表明。「経済学における女性の地位向上のために努力してきた」と述べた。
 研究成果は、男女格差是正に取り組む各国の労働政策にも影響を与えたとされる。選考委員会は「画期的な研究により、私たちは根底にある要因や、今後どういった障壁に対応する必要があるかをより広く知ることができた」と評価した。
 経済発展が女性の就業率向上をもたらすことが定説とされていた。だがゴールディン氏は工業統計や国勢調査などを基に、既婚女性の就業率が工業化の過程で一時的に低下し、20世紀に入ってサービス産業が発展したことに伴い再び上昇する「U字カーブ」を描いていたことを解明した。
米マサチューセッツ州のハーバード大で記者会見するクラウディア・ゴールディン同大教授=9日(ロイター=共同)