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「社会に認めてもらえる」 性別変更 手術要件違憲 初判断に申立人・鈴木さん


「社会に認めてもらえる」 性別変更 手術要件違憲 初判断に申立人・鈴木さん 審尋をするため静岡家裁浜松支部に入る鈴木げんさん(中央)と弁護団=2022年10月
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 性別変更に手術を求める現行法の規定は「憲法違反で無効」との静岡家裁浜松支部の初判断を受け、申立人の鈴木げんさん(48)は12日、共同通信の取材に対し「男性として生活している実態を社会に正しく認めてもらえる」と喜びをかみしめた。
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 鈴木さんは40歳で性同一性障害と診断された。男性ホルモン投与治療を開始し、乳腺摘出手術も受けた。卵巣の摘出手術は合併症などの身体的、精神的負担を懸念し、受けていない。
 現行法では、性別変更の審判をする際「生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態であること」を要件としているため、戸籍上は女性のままだ。「アイデンティティーが全て否定されるようだった」と振り返る。今後は「性別表記が変わった保険証や住民票を手にしたときにようやく実感できるようになるのではないか」と話した。
 弁護団の本多広高弁護士は「今後の審判に対する先例になることはうれしい。生殖腺をなくすことが要求されなくなることが強く期待される」と述べた。
 また、弁護団の堀江哲史弁護士は「安易に性別変更が認められれば社会が混乱するのではないかという懸念にも向き合った上で、家裁は理性的に判断してくれた」と評価。「当事者の切実な思いをくみ取ってもらえた。個別の事案でなく、法律自体が違憲と真正面から認めたことに大きな意味がある」と指摘した。
審尋をするため静岡家裁浜松支部に入る鈴木げんさん(中央)と弁護団=2022年10月