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ガザ侵攻へ戦時内閣 イスラエル、米長官訪問 回廊協議か、死者2700人


ガザ侵攻へ戦時内閣 イスラエル、米長官訪問 回廊協議か、死者2700人 イスラエル・エルサレム、ガザ地区、ヨルダン川西岸、レバノン、エジプト、シリア
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 【エルサレム共同=橋本新治】イスラエルのネタニヤフ首相は11日、野党党首のガンツ前国防相と戦時下の挙国一致内閣の樹立で合意した。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの掃討に集中し地上侵攻の準備を進める。ブリンケン米国務長官は12日、イスラエルを訪れ、ネタニヤフ氏と会談した。ガザは「完全封鎖」で人道危機が懸念され、市民退避や物資供給のための「人道回廊」設置などを協議したとみられる。
 12日までの死者は、ガザ保健当局によるとパレスチナ側が1417人。イスラエルメディアは同国側の死者が1300人に達したと伝え、計2700人以上となった。
 ブリンケン氏はネタニヤフ氏と会談後、記者団に対し、ハマスと戦うイスラエルへの全面支持を表明。同時に民間人被害を避けるよう努める重要性を強調した。挙国一致内閣の樹立を歓迎し、ハマスが拘束する人質の解放に向けイスラエルと緊密に連携すると述べた。
 ガザでは住宅密集地に空爆が続き、女性や子どもの犠牲が絶えない。イスラエルは電気、食料、燃料を遮断する完全封鎖を宣言、11日にはガザ唯一の発電所が停止した。人道状況の悪化が懸念され、イスラエル軍が地上侵攻に踏み切る前に市民を退避させる手段を米国がエジプトやイスラエルと協議している。
 イスラエルメディアによると、挙国一致内閣は12日に国会で承認。ネタニヤフ氏とガンツ氏は戦争遂行に関係のない法律や政府決定の議論は進めないことでも合意した。
 ネタニヤフ氏は11日の演説で、ハマスを過激派組織「イスラム国」(IS)と同一視し「われわれは全ての前線で全力で戦い、攻勢に出る。ハマスのメンバーは全員死ぬ」と語った。
 一方、シリア国営メディアは12日、首都ダマスカスと北部アレッポの空港にイスラエルによる攻撃があったと伝えた。イスラエルはこれまでも敵対するシリアで親イラン組織を狙う空爆を繰り返してきた。

12日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで、イスラエル軍の空爆により損壊した家屋のがれきを片付ける人々(ロイター=共同)