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アフガン地震 復興長期化 1週間、人道危機深刻化


アフガン地震 復興長期化 1週間、人道危機深刻化 アフガニスタン・ヘラート州でがれきの前に座る子ども=日(ゲッティ=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【カブール共同】アフガニスタン西部ヘラート州で2445人が死亡した7日の地震は14日で発生から1週間。多くの村が壊滅的な被害に遭い、テント不足のため野宿する人もいるなど、衛生環境が悪化している。生活再建の長期化は必至で、冬が迫る中、仮設住宅建設を求める声が上がる。物資は不足しており、イスラム主義組織タリバン暫定政権は国際社会に支援を求めている。

 一方、2021年8月に復権したタリバンは女性の教育や就労を制限、国際テロ組織とのつながりも指摘され、暫定政権を承認した国は一つもない。経済制裁が続き多くの国民は困窮している中で災害が起き、人道危機の深刻化が懸念される。

 暫定政権などによると、7日起きたマグニチュード(M)6・3の2回の地震で家屋計約2千棟が全壊し、2千人以上が負傷。11日にも同規模の地震があり、3人が死亡した。一連の地震の被災者は約1万7千人とされる。

 行方不明者は数百人いるとみられるが、アフガン赤新月社は被災地での救助活動はほぼ完了したと明らかにし、生活再建に向けた支援に焦点が当たる。被災地では野宿する人もおり、嘔吐(おうと)や下痢、風邪などの症状を訴える被災者が続出。家族を亡くしトラウマ(心的外傷)を抱えた人も多い。

 被災者の男性は「別の場所で家を建ててほしい」と話す。暫定政権のエバド保健相は「さらなる支援が必要」と訴える。

 同志社大の堤浩之教授(活断層研究)によると、アフガン西部では南側にあるプレートが北進し北側のプレートに衝突、東西方向の断層が多数分布している。州都ヘラートのある盆地と北側の山地との境界には、断層の片方が乗り上げるようにずれる「逆断層」があることで知られ、逆断層の破壊が今回の地震につながったとみられる。