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「逃げ場なく 生き地獄」/「水も食料も薬もない」/ガザ在住/国連日本人職員、惨状語る


「逃げ場なく 生き地獄」/「水も食料も薬もない」/ガザ在住/国連日本人職員、惨状語る イスラエル軍が日に示した避難ルート(イスラエル・エルサレム、テルアビブ、ガザ地区)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「水も食料も薬もない」「逃げ場はなく、生き地獄だ」。イスラエル軍の空爆が続くパレスチナ自治区ガザで、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)職員として働く益子萌さん(38)が15日までに共同通信のオンライン取材に応じ、ガザの惨状を語った。(1面に関連)
 益子さんは昨年5月からUNRWAガザ事務所に勤務。今月7日にイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まってからはガザ中部にある国連関連施設の地下室で6日間過ごし、13日に南部ラファに避難した。現在妊娠19週で、胎児の健康を気遣いながら、避難所の運営を支援する。
 「道は破壊され、物資が運べない。水、食料、薬、マットレス。必要最低限のものがない」と益子さん。避難所には乳児を抱えた母や障がい者、妊娠中の女性も。だが「水が使えず、トイレを利用できないこともある。生理用品さえない」。
 6日間過ごした国連関連施設は空爆の標的にされないことになっているが、周囲への空爆で常に激しい爆風にさらされた。地下室でさえ天井の一部が落下。15人が共有する1台のシャワーが配水管の破損で利用できない日もある。
 外出する地元職員からは「空爆で周囲には建物がなくなった。イスラエルは、これ以上どこを空爆するのか」と憤りの声も上がる。人口密集のガザは「逃げ場がない生き地獄」だ。
 UNRWA地元職員も14人が死亡。多くが自宅を失い、自らも避難民になった。それでも妊娠中の益子さんに血圧計や葉酸タブレットを届ける地元職員に胸を打たれた。
 「ガザの住民とハマスは一体じゃないのに、ハマスへの報復で罪のない市民が次々と殺される」と憤る。「ガザには希望がない。多くの人にイスラエルによるパレスチナ占領について考えてほしい」
  (エルサレム共同)

益子萌さん

イスラエル軍の攻撃で負傷し、病院のベッドに横たわる男児=15日、パレスチナ自治区ガザ(ロイター=共同)

パレスチナ自治区ガザに近いイスラエル南部スデロト付近に配置された軍用車両=14日(ゲッティ=共同)