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ポーランド 政権交代公算 下院選、野党連立協議へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ワルシャワ共同】ポーランドで15日、下院選が行われた。選管当局の16日の発表によると開票率約65%で、2015年から強権的統治を進めてきた保守与党「法と正義(PiS)」が得票率37・5%、親欧州連合(EU)の野党連合「市民連立」が28・5%となった。地元メディアは出口調査の結果として、PiSが第1党となるが過半数には届かず、市民連立が他の野党と連立して政権を奪取する可能性が高いとしている。
 8年ぶりの政権交代に向け、連立協議が焦点となる。政権維持を目指すPiSが野党議員の取り込みを図るなど、曲折がある可能性もある。ロシアのウクライナ侵攻後、ポーランドは隣国ウクライナに手厚い支援を続けてきた。PiS政権は安価なウクライナ産穀物が流入した際、自国農家の保護を優先したため対立が一時激化、支援に懸念が生じる局面もあった。支援継続の重要性を訴えた市民連立が政権を主導すれば、安定に向かうとみられる。
 出口調査に基づく予測では、定数460の下院でPiSの獲得議席は198議席、市民連立は161議席。市民連立が連立を組む予定の中道「第3の道」は57議席、「新左派」は30議席で、合わせて過半数を上回る。
 EU前大統領で市民連立の基盤となる中道「市民プラットフォーム」を率いるトゥスク元首相は「PiSの支配は終わった。民主主義が勝利した」と宣言。PiS党首のカチンスキ元首相は「政権の座にあろうとなかろうと、私たちの政策実現を図る」と述べた。

15日、ポーランドの首都ワルシャワで支持者を前に演説するトゥスク元首相(AP=共同)
15日、ポーランドの首都ワルシャワで演説する「法と正義」党首のカチンスキ元首相(中央)(AP=共同)