【ワルシャワ共同】15日実施のポーランド下院選(定数460)で17日、選管の最終開票結果が公表され、強権的統治を進めてきた保守与党「法と正義(PiS)」が得票率35・38%で第1党となったが、194議席で過半数に届かなかった。親欧州連合(EU)の野党連合「市民連立」は30・70%で他の野党2党と合わせ248議席を確保し、政権奪取の公算が大きくなった。8年ぶりの政権交代に向け、今後は連立協議が焦点となる。
ロシアのウクライナ侵攻後、ポーランドは隣国ウクライナに手厚い支援を行ってきた。支援継続の重要性を訴えた市民連立が政権を主導すれば、一層安定した支援が続けられるとみられる。
投票率は74・38%(前回61・74%)と1989年の民主化後で最高となり、有権者の関心の高さを裏付けた。
市民連立が連立を組む予定の中道「第3の道」の得票率は14・40%、「新左派」は8・61%。ウクライナ支援に否定的で、カチンスキ元首相のPiSとの連立が取り沙汰された極右「自由と独立同盟」は伸び悩んだ。
メディアや司法の統制、人工妊娠中絶のほぼ全面禁止、移民排斥など、PiSの強権政治への反発が反映され、都市部や若年層、女性の間で野党の支持が高かったとされる。
下院選の出口調査の結果を受けてポーズを取るトゥスク元首相=15日、ポーランド・ワルシャワ(ロイター=共同)