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「一帯一路」 質重視へ 習氏、会議で転換表明


「一帯一路」 質重視へ 習氏、会議で転換表明 「一帯一路」の国際会議の記念撮影で手を振る中国の習近平国家主席(前列中央)とロシアのプーチン大統領(同左)=18日、北京の人民大会堂
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同=清水敬善、杉田正史】中国の習近平国家主席は18日、巨大経済圏構想「一帯一路」の国際会議で基調演説を行い、自身の提唱から10年となった構想が世界の発展を後押しし「国際協力で成果を上げた」と実績を誇示した。今後は参加国と共に「質の高い発展」を目指すとし、規模追求から質重視への転換を表明。環境分野など8項目の行動指針を打ち出した。一帯一路は過剰融資や乱開発といった課題を抱え、新方針で参加国の結束を図った。
 ロシアのプーチン大統領も会議に出席し、習氏の後に演説。一帯一路が「成功していることは喜ばしい」と称賛した。
 8項目の行動指針は太陽光発電などクリーンエネルギーの利用やデジタル経済の促進で協力を強化し、科学技術分野の支援を図るとした。中国と欧州をつなぐ陸海空の交通網を積極的に整備し、市場開放を進めることも盛り込んだ。
 一帯一路は低所得国が中国から受けた融資の返済に苦しむ「債務のわな」が深刻化。先進7カ国(G7)で唯一参加するイタリアが離脱を検討しほころびが目立つ。今回の会議で首脳級の出席が報じられたのは二十数カ国で、2019年に行われた前回の38カ国を下回ったとみられる。 
 演説で習氏は一帯一路が「共同発展とウィンウィンを目指している」と主張。「経済切り離しには反対だ」と述べ、中国との経済関係を見直す米欧を批判した。10年間で「鉄道や道路などで世界にネットワークを広げ、商品や資金、技術、人の流れを促進した」と、インフラ整備の成果をアピールした。
「一帯一路」の国際会議の記念撮影で手を振る中国の習近平国家主席(前列中央)とロシアのプーチン大統領(同左)=18日、北京の人民大会堂