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中国 核弾頭500発保有 米報告 軍事行動増、台湾へ圧力


中国 核弾頭500発保有 米報告 軍事行動増、台湾へ圧力 米国防総省報告書のポイント
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 【ワシントン共同=比嘉杏里】米国防総省は19日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表した。中国が今年5月の時点で500発以上の運用可能な核弾頭を保有していると推定。2030年には千発を超えると予測し、核戦力の拡大に警戒感を示した。台湾海峡周辺で軍事行動を増やし、台湾への圧力を強めていると指摘した。
 昨年の報告書では保有数を400発超と推定し、35年に約1500発となる公算が大きいとしていた。担当者は「従来の予測より速いペースだ」と指摘。中国を「着実に迫る脅威」と位置付けたバイデン政権の懸念を裏付けた。
 今回の報告書は、中国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)用の発射場3カ所の新設を昨年完了したとの見方を示した。これらの発射場は少なくとも300のサイロ(地下発射施設)を備え、いくつかはICBMを実際に配備しているとした。こうした動きは敵のミサイルに反撃する「警報即発射(LOW)」システムの態勢を強化し、即応性を高める意図があると分析した。
 昨年8月のペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問や、今年4月に台湾の蔡英文総統が訪米したことへの対抗措置として、中国軍が実施した大規模な軍事演習も取り上げた。弾道ミサイルが台湾本島上空を通過し、中国軍機による防空識別圏への進入も急増するなど、挑発を重ねているとした。
 中国が極超音速ミサイル開発で世界最高水準の技術を持っていると警告。人工知能(AI)など先端技術の軍事利用を進めており、サイバー攻撃により米国の天然ガスパイプラインを数日から数週間にわたって遮断する能力があるとした。