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邦人男性を正式逮捕 スパイ容疑、拘束長期化


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同】中国北京市でアステラス製薬の日本人男性社員がスパイ容疑で拘束された事件で、中国当局が男性を正式に逮捕したことが19日分かった。日中関係筋が明らかにした。松野博一官房長官は記者会見で男性社員が10月中旬に逮捕されたことを確認していると述べた。日本政府は引き続き男性の早期解放を中国側に求めていく方針だが、拘束の長期化は必至。日中関係は難局が続きそうだ。
 中国で邦人の安全確保が難しい現状が改めて浮き彫りになり、日本企業が中国への進出や投資を抑制する影響が出るのは避けられない。日本で中国渡航を自粛する動きが広がる可能性がある。
 中国外務省の毛寧副報道局長は19日の記者会見で「中国は法治国家であり、法に基づいて事件を処理する」と述べた。
 男性は3月の帰国直前に「反スパイ法と刑法に違反した」として国家安全当局に拘束され、北京の収容施設で監視下に置かれた。正式逮捕するかどうか当局が判断する刑事拘留の措置を取ったと中国側が日本政府に9月に伝え、司法手続きが進んでいた。逮捕により、起訴するかどうかの審査まで最長7カ月間にわたり拘束される。
 男性は50代でアステラスの現地法人幹部を務めたベテラン駐在員。中国に進出する日系企業でつくる中国日本商会の要職に就いた経験もある。
 日本政府関係者によると、北京の日本大使館員による男性との領事面会を月1度のペースで実施している。大使館員は19日、対面で領事面会を行い、健康状態には問題はないと確認した。
 中国は2014年以降に反スパイ法や国家安全法の制定を通じ外国人を厳しく監視。今年7月には取り締まり強化のため改正反スパイ法を施行した。男性を含め邦人17人が拘束され、現時点で5人が中国国内にとどめられている。