ガザ　数日内に人道支援　安保理、停戦に米拒否権　死者５１００人、中東デモ拡大

　【エルサレム共同＝橋本新治】バイデン米大統領は１８日、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザにエジプトから支援物資を搬入することでイスラエルと合意した。数日以内に実現する方向。イスラエルが完全封鎖を続けるガザの人道危機は悪化。双方の死者は計５１００人を超えた。国連安全保障理事会は１８日、戦闘の一時停止を要請する決議案を採決したが、米国の拒否権行使で否決された。　（２７面に関連）
　ガザでは食料や医薬品が不足。中東メディアによるとイスラエル軍は１９日未明、ガザ南部のラファ検問所近くを複数回空爆、死傷者が出た。スナク英首相は１９日、イスラエルを訪れネタニヤフ首相と会談、物資のガザ搬入決定を歓迎すると述べた。多数が死亡したガザの病院爆発でイスラエルを糾弾する抗議デモが中東諸国で拡大している。
　ガザに地上侵攻する構えのイスラエルに対し、バイデン氏は１８日のイスラエルでの演説で「怒りを感じる時でも度を失っては駄目だ」と自制的対応を要請。イスラエル軍報道官は１９日、ハマス側が拘束する人質は少なくとも２０３人だとした。ガザの保健当局によると、ガザ側の死者は３７８５人。イスラエル首相府によると同国側の死者は１４００人以上。
　バイデン氏はエジプトのシシ大統領とも電話会談し、ラファ検問所の物資通過を限定的に認めるとの確約を得たと説明。最大トラック２０台分で、ガザ側で国連機関が物資を受け取るという。ガザなどに向けた１億ドル（約１４９億円）の人道支援も表明。今週イスラエル軍事支援へ「前例のない」規模の予算を議会に要請する方針も示した。
　イスラエル首相府は支援を認める考えを示したが、ハマスに物資が渡らない保証を求めている。
　バイデン氏は１９日、ホワイトハウスで演説し、ガザ情勢への対応などについて説明する。
ガザ地区南部ラファに通じるエジプト側の検問所前で、支援物資の搬入を待って野営するＮＧＯスタッフら＝１９日（ゲッティ＝共同）