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「ハマス、プーチンは共通」 米大統領演説で非難 イスラエル巨額支援要請


「ハマス、プーチンは共通」 米大統領演説で非難 イスラエル巨額支援要請 19日、米ホワイトハウスの大統領執務室から国民向けに演説するバイデン大統領(ロイター=共同)
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 【ワシントン共同=新冨哲男】バイデン米大統領は19日、ホワイトハウスで演説し、イスラエル支援の巨額緊急予算を20日に議会に要請すると明らかにした。パレスチナのイスラム組織ハマスをロシアのプーチン大統領と同列に置き「隣の民主主義国を完全に滅ぼそうとする共通点がある」と非難。看過すれば「紛争リスクが中東やインド太平洋など世界各地に広がりかねない」と述べ、対応が急務だと訴えた。
 ハマスとイスラエル軍の戦闘は21日で2週間。人道危機が続くパレスチナ自治区ガザに支援物資を搬入するため、関係国や国連はガザとエジプトの境界にあるラファ検問所を20日に再開する方向で調整。21日以降にずれ込む可能性もある。
 AP通信によると、バイデン氏が議会に求めた緊急予算は総額約1千億ドル(約15兆円)規模で、うちイスラエル支援は140億ドル。ウクライナ支援600億ドルも盛り込まれた。バイデン氏は重大局面で米大統領が実施する執務室からの演説で「ハマスのようなテロリストやプーチンのような暴君に勝たせてはならない」と語り、支援を両立させる必要性を強調した。
 米下院は議長不在で予算審議ができない状態が続く。バイデン氏はイスラエルとウクライナを支えることが「米国の安全保障にとって極めて重要だ」として混乱収拾を呼びかけた。予算は紛争拡大抑止に向けた「賢明な投資だ」と説明した。
 イスラエル支援では「国民を守るために必要な物を確保する」と表明した。ハマスへの報復に関しては「怒りでわれを忘れてはならない」と忠告し「民間人の保護」に最大限努めるよう促した。
 同時に「ガザの人々には食料、水、医薬品が緊急に必要だ」と指摘。エジプト側からの物資搬入は「息の長い支援の幕開け」になるとして継続への決意を示した。
 パレスチナとイスラエルの「2国家共存」実現を「諦めない」と改めて語った。パレスチナ自治政府のアッバス議長に対し、パレスチナの自決権の実現に向けて関与を続ける方針を伝えたことも明らかにした。
19日、米ホワイトハウスの大統領執務室から国民向けに演説するバイデン大統領(ロイター=共同)